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コラム145 レーダー反射器の勧め |
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大東亜戦争末期、悪逆非道な連合軍は日本本土を襲い国際法違反の無差別爆撃を行っ
て非戦闘員である日本i国民を多数殺傷した。
サイパンや硫黄島から来襲したボーイングB29戦略爆撃機は、このとき我が国のレ
ーダー防空網を欺瞞させるため、アルミ箔を散布したのだ。
これはchaff[チャフ]と呼ばれ、アルミコーティングされたグラスファイバのように
レーダ電波を良く反射する物体を機体から放出することにより、相手のレーダや、レー
ダ誘導ミサイルを欺瞞することができるものである。
これとは逆にレーダー波を有効に反射するものがレーダーリフレクター(反射器)で
小型船舶は法定の除外事項のある場合を除きこの装備が義務付けられているのであるが、
実際に使用しているかというとそうでもない。
ヨットではたまに掲揚している艇を見かけるが、夕暮れに出航する遊漁船やプレジャ
ーボートを見ると殆ど掲揚していないようである。
大型船の高性能レーダーでも、
★雨や波高によっては漁船などがレーダーに写らないことがある。
★近距離小物標がレーダーに写らないことがある。
★レーダーに写っていないのに付近に小型漁船がいて驚いたことがある。 と航海士
は「ぼやいて」いる。
木造船やFRP製の小型船のようにレーダー反射面積の少ない船をレーダーで捕捉す
ることに航海士は神経を尖らせている。とくに視界制限状態時にはそうだ。
折角の法定備品である。航行中は是非掲揚してもらいたおいものである。
夜間の、小型船の衝突でレーダーリフレクターの掲揚、不掲揚を問題にした海難審判
事例はあまり聞いたことがないが、夜間の航行にあっては、備品として強制するだけで
なく使用(掲揚)そのものを強制すべきではなかろうか。
岡崎洋典さんは香川県小豆島の岡崎造船所の一族で、新西宮ヨットハーバー前で輸入
艇やMasunedo Marinecenter社の船用品を取り扱っている株式会社オカザキヨットのオ
ーナーである。
ご子息の浩資朗(Koujirou)さんはイギリスはSouthamptonでの留学経験がある英語ペ
ラペラの好男子で、横浜金沢区のベイサイドマリーナ内のオカザキヨットで専務取締役を
勤めている。同社が輸入しているフインランドの艇はよく知られている。
筆者は、同社が取り扱っているMasunedo Marinecenter社のカタログから、自動操縦装
置や、ランプなど、いくつかの小物を購入して楽しんでいるが、先だってレーダーリフレ
クターを2個注文した。
図がそれで、従来から持っているアルミ製のものと合わせて3個
を春一番U世号に搭載し、常時掲揚して航行している。 |
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ここでは、レーダー反射器について釈迦に説法をさせていただこう。
小さい面積で、レーダー波をよく反射する(レーダー断面積の大きな)ものをレーダー
反射器というが、船だけでなく、航路標識である灯浮標の一部にもにも取り付けられて
いる。
原理的には三枚の金属板を直交させて作ったコーナ反射器が主流であるが、誘電体内
で、電波が屈折するレンズ効果を利用したレンズリフレクターや小型の反射器を円筒に
格納したチューブ型のものもある。
図はコーナー反射器の例で、広い範囲の入射角で入射した電波はいずれも3回の反射に
よって元の入射方向に戻る性質をもっている。このような三角形のコーナー反射器の最
大のレーダー断面積は一辺の長さをaすると、式1で求めることができる。
例としa= 0.3メートル、λ(波長)=0.03メートルとすれば37.7平方メートルとなり、
直径7メートル弱の球と同じσをもつことになる。これを組み合わせて8面体としたもの
が一般的なレーダー反射器である。
レンズリフレクターの代表的なものにはルーネベルグレンズリフレクターがあり原理
的に非常に面白いものだが、詳細は専門書を見ていただくことにしよう。
式1のとおりaの4乗に比例して有効面積が増える。aが0.35mなら約70平方
メートル、0.40メートルなら約119平方メートルとなるから、可能な限り大きな
ものを装備することをお勧めする。
自作も可能だが、板を正しく直交させることと、板面が滑らかでないと、効率が極端
に悪くなるから注意が必要だ。
先般、大型カーフェリーのレーダーで春一番U世号を観測してもらったのでレーダー
映像を紹介しよう。使用したレーダー反射器はアルミ製(上写真の一番下) のものである。
観測は阪九フェリー株式会社旅客フェリー「つくし」の一等航海士 松本 勝氏が
行ってくれた。
同氏によると、春一番はレーダー反射強度が大きく、レーダー反射器を掲揚したとき
と、そうでないときとの差は顕著ではないとのことだが、未掲揚時はレーダ映像がスキ
ャナーの回転ごとに変化していたが、掲揚時には安定した反射強度が得られたようであ
ると知らせてくれた。
そのうちに、テンダー「こはるいち」での実験をしてみたいと思っている。
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